
目を覚ましたとき、俺の隣には花音の姿がなかった。
やっぱりあれは幻覚だったのか?
慌てて起き上がると、花音は俺のTシャツを着てベッドに背を向け床にペタンと座っていた。
床に散らかっているDVDやCDたちを次々に掴んでは、自分の右側と左側に分けている。
片づけをしてくれている、というわけでもなさそうだ。
「何してんの?」
ハーフパンツをはきながらたずねると、花音は振り返ることなく答える。
「んー? 好きなのと嫌いなのに分けてる」
予想もしない答えに俺は吹き出した。
「何それ」

後ろから覗き込むと、DVDを分ける花音の顔は真剣だった。
ぱっちりと開いたアーモンドアイ、一文字に閉じられた口。
俺はそのまま後ろから花音を抱きしめた。
それでも花音は選別する手を止めない。
俺はさらに抱きしめ、そのまま床に押し倒した。
花音が積み上げたDVDが音を立てて崩れ、床の上でぐちゃぐちゃになった。
「ちょーっとぉ」
花音は肩を落として俺の方を振り返る。
俺はそのままキスをする。
唇を重ねながら俺たちは笑い合い、手や足で過去の名作映画を蹴飛ばしながらじゃれあった。
窓の外では太陽が随分高い位置に昇ってしまっている。
そんなことお構いなしに、俺は花音のすべてを目と唇と体に焼き付けるように撫でまわした。