
高校入学と同時に携帯を持った。
でも、こんなに携帯を握り続けていることはかつてなかった。
いつかかってくるかわからない電話を待つのって、しびれる。
俺はベッドの上でゴロゴロと寝返りをうち続けた。
三分に一度は携帯を開いたけど、時計が三分進んでいるだけで何も変わっていない。
開いて、閉じて、開いて、閉じて、開いて、閉じて。
接合部分が緩くなってしまうんじゃないかと思うほどの開閉を繰り返し、発信ボタンの上に親指を置くけど、押せない。
花音は今バイト中。
バイト中ってことは、そういうわけだ。
そこに電話なんてかけたらどうなるんだろう。
空気読めないって思われるのかな。
嫉妬しているって思われるのかな。
花音のバイトは知っている。
知っている上で惚れたんだ。
でも、冷静になって考えるととんでもないことだって気付く。
想像したくないけど、想像してしまう。
花音が他の男と一緒にいるってことを。
不幸中の幸いなことに、俺はまだ花音の裸を見ていないし、やってもいない。
だからそれ以上の想像はまだリアルじゃない。
だけど、今、花音は……。
俺は目をぎゅっと瞑って発信ボタンを押した。