
これはルール違反だろう。
今、俺の部屋には花音がいる。
「へーえ。山崎君ちってこんな感じなんだ」
一応礼儀としてエロい本は見えないところに隠したが、散らかり放題の小説やDVDたちは積み重ねて隅っこに置くので精一杯だった。
窓を開けて座布団の上のポットチップスなどの粉をはたき、花音に差し出すと、
「どうも」
と言ってあぐらをかいた。
デニムのショートパンツから伸びる内太ももは、他の場所よりも白い気がして、俺は目のやり場に困った。
「暑いだろ? クーラー入れる?」
「ううん、いい。私冷え性でさ。窓開けておいてくれればそれなりに風入るみたいだし」
「そっか」
いっそのこと、寒くなって俺の上下長袖のジャージでも着てくれればいいと思った。
東京に来てから彼女がおらず、ナンパする元気もなく、風俗に行く金もない俺にとっては刺激が強すぎる。
そんな風に緊張しているのは俺だけみたいで、花音はさっさとノートを開いて打ち合わせの準備を始めた。
「その前に」
花音は目をキランと光らせて、さっきコンビニで買ってきた缶ビールを取り出した。
「かんぱーい」
どうやら俺に対する警戒心はないらしい。
花音は屈託ない笑顔でビール缶を掲げる。
「かん、ぱい」
俺は缶を軽くぶつけたが、あまり飲む気がしなかった。
この状況で、酒飲んで……理性が持つかどうか。
しかし花音はグビグビと喉を鳴らして美味しそうに飲んでいる。
「うまーい」
酒、強いのかな?
花音は再びビールに口をつける。
もしかして俺、試されている?
