
道は見えても歩き方がまだわからない。
そりゃそうだ。
簡単に歩けるくらいなら誰だってゴールを目指して寄り道することなくすたこらさっさと歩いているさ。
俺の地図はまだまだ白紙で、ルートを暗中模索中。
気持ちにエンジンがかかっているだけにもどかしい。
俺はクーラーを切って、窓を開けた。
昼間はうだるような暑さだが、夜はそれなりに心地いい風が吹く。
白紙のアイデアノートがパラパラと風に弄ばれている。
俺は黄色いお月様を見上げて真っ白な俺の才能に苦笑いした。
綺麗な黄色だ。
星も輝いている。
東京で星が見えるなんて、今日はよっぽど空気が澄んでいるんだな。
じっと星を見つめていると、その中の一つが輝きを増した。
その星はケタケタなのか、キラキラなのか、笑顔で俺に笑いかけている気がした。
そっか。そうだよ。
俺の頭上にヒントが舞い降りてきた。
映画は総合芸術だ。
俺はすっきりとした気持ちで座布団の上に座り、アイデアノートの適当なページを開き、黒ペンを握った。
丸を描いて、その中に山なりの目が二つ、縦線一本の鼻、上弦の月のような口を描いた。
俺にはなんともバランスの悪いニコちゃんマークしか描けなかった。
俺は誰かさんと違って絵が下手だ。
真っ白なノートの上に産まれたいびつなニコちゃんマークが俺を見て笑っていた。
