
#19「Leave」-2

見送りなんていいって言ったのに、絵津子さんは車を出してくれた。絵津子さんの恋人が運転し、助手席に絵津子さん。後部座席には私と聖子と昭吾くん。
これでお別れだと思うと悲しいはずなのに、すし詰め状態の車内はまるでピクニックにでも出かけるような雰囲気で、少し和んだ。それでもJFK国際空港が見えてくると、誰ともなく言葉が少なくなり、やがて車内は静けさに包まれた。
もう二度と会えないってわけじゃない。日本で就職をして、夏休みや年末年始に来ることだって出来る。だから決して永遠の別れじゃない。明るい声で伝えると、昭吾くんは少し安心したように、「来る前にメールしてくださいね。買ってきてほしいものあるから」と陽気に笑った。
聖子もあっけらかんと「百合が来れなかったら、私が日本に遊びに行くよ」と言った。
絵津子さんも隣で笑っていた。
けれど私は確信が持てなかった。私は再びNYを訪れるのだろうか。
日本に帰って、就職して、お金を貯めて、有給を取って、NY旅行。
久々の再会は楽しいかもしれない。でもそれは私が望んでいることじゃない気がした。