
#18「Life is …」-1
パーティも終盤になった頃だった。昭吾くんが呂律の回らない英語で尋ねた。
“When do you come back to NY, Yuri?”
いままで多くの人に聞かれた質問だ。私はいままでと同じく曖昧な返事をした。
“I am not sure yet.”
昭吾くんは、今度はすわった目でAdamに向かって尋ねた。
“So when do you go to Japan?”
Adamは少し考えてから、ため息をつくように答えた。
“I can’t go to Japan, but I want to go.”
昭吾くんは腕組みして沈黙した。そしてしまいには頭を抱えこんだ。
“So when do you guys meet again?”
誰も何も答えなかった。バドワイザーと日本酒で温まっていた体が、少し冷たくなるのを感じた。
帰国まであと十二日。
絵津子さんが開いてくれた私のサヨナラパーティで、昭吾くんは日本酒を飲んでベロベロに酔っぱらった。聖子や絵津子さんに絡んでは「酒臭い」と迷惑がられている。Adamはそんな昭吾くんを見て、”Crazy Japanese.”と楽しんでいる。大人なメグさんはそんなみんなのやり取りを眺めて含み笑いをしている。
メグさんを呼ぶことにAdamは賛成をしなかった。でもどうせなら大勢が良かったし、私はメグさんを決して嫌いではない。
確かに一般的に考えると、私とメグさんが仲良くするのは普通じゃないかもしれない。メグさんはAdamの元彼女で、私はAdamの現彼女なんだから。でも同じ人を好きになったからこそ、私はメグさんにどこか共感する部分を持っている。
キッチンに追加のバドワイザーを取りに行くため、立ち上がる。
絵津子さん、聖子、メグさん、昭吾くん、それにAdam。NYで知り合った大切な人たちが集まってくれて、私が帰ることを惜しんでくれている。私は本当に幸せ者だ。
ふと、あと何回みんなに会えるんだろうと疑問が湧いた。
そう考えると妙にしんみりしてしまったから、私は考えるのをやめて、新しいバドワイザーを開けた。
