
#14「Let me know」-1
「でもさぁ、すごいよね、百合は」
聖子が目を輝かせている。
「まさかこんな展開になるなんて思ってなかった」
授業が終わると34stのMacy’sの中にあるスタバに直行した。英語で疲れ切った頭を休めるために温かいチャイラテを飲む。聖子はAdamの話を聞きたがり、出会いから今までの軌跡を辿っていたら、普通ならあり得ないことが起きているんだと実感した。
「だって百合には悪いけど、絶対ダメだと思ってたもん」
「私もそう思ってた」
「運命だよ」
「奇跡かも」
“It’s destiny.”
“Maybe miracle.”
本当にそう思う。運命であり、奇跡でもある。
日本にいた頃の私は、まさかNYで恋をするなんて考えてもみなかった。普通に日本人と恋をして、結婚して、子供を産むと思っていた。あの日、私が図書館でAdamとぶつかっていなければ、ポストカードを拾わなければ、この恋は永遠に始まらなかったのかもしれない。
聖子にそう伝えると、「でもふたりが運命なら、いつかきっと出会ってたよ」とチャイラテよりも甘い言葉が返ってきた。聖子がロマンチストだなんて知らなかった。
突然、背中の鞄から振動を感じる。携帯だ。Adamからだった。
思わずニンマリした私に向かって、聖子もニンマリする。
