千葉美鈴 ニューヨークエルストーリー

#05「Lost」-1

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パレットの水色にたっぷり水を含ませて塗ったようなうすい空。
乾いた橙色に、乾いた絵筆でべた塗りしたような木々。
徐々に葉っぱは落ち始めていて、もうすぐ冬になるんだなぁ、って寂しくなる。
秋から冬になる時の寂しさって何とも言えない。

徐々に気温が下がって、カーディガンだけじゃ足りなくなって、まだ六時なのにもう太陽はなくって、早く家に帰らなきゃいけない気がして。 もう11月? まだ11月? 私がニューヨークに来てもうすぐ一か月だ。

“Watch out!!!”
担任教師が叫ぶ声と同時に、ポコっと頭に何かが当たった。
バドミントンの羽だ。
“So sorry,Yuri. Are you OK?”
“Yes, I’m OK.”
“Are you sure?”
“Sure.”

私達の語学学校では、毎週金曜日にレクリエーションがあって、今週はセントラルパークにやって来た。
あくまで担当教師の趣味だったりするから、クラスによって行く場所はバラバラ。
ブロードウェイミュージカルだったり、ミュージアムだったり、夏にはコニーアイランドっていう遊園地にいったり。
どうせならブロードウェイミュージカルが見たかったけど、しょうがない。

クラスメイト達はそれぞれが持ってきたバドミントンやバレーボールやブーメランで遊んでいる。
時には大きな笑い声が聞こえる。 私はみんなをただぼーっと眺めている。
スポーツって得意じゃない。
こうして遠くからその光景を眺めている方が楽だ。
バレーボールの輪に加わっていた韓国人のシンウォンがやって来て、私の隣に座る。
私はシンウォンが苦手だ。なんだか距離が近すぎるから。
座る時も、会話する時も、顔を近づけてくる。そして必ずこう言う。
“I love you, Yuri.”
“Thank you.”
私は居心地が悪くなって、立ち上がった。独り言のように、“Just walk around.” と言い残して。

#05「Lost」-2へつづく

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千葉美鈴 新連載エッセイ
「不滅の千葉ちゃん29歳」

『New York L Story』概要

#01「Left」

#02「Live」

#03「Lesson」

#04「Leaf」

#05「Lost」

#06「Lie」

#07「Listen」

#08「Library」

#09「Luxury」

#10「Lack」

#11「Lonely」

#12「Letter」

#13「Like」

#14「Let me know」

#15「Love」

#16「Lily」

#17「Local」

#18「Life is …」

#19「Leave」

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