千葉美鈴 ニューヨークエルストーリー

#03「Lesson」-1

語学学校入学の日。

ずっしりとした重い雲が空を覆っている。
雲自体は白いはずなのに、どうしてこんなに灰色に見えるんだろう。 コンクリートの道が灰色だから? 
だったら、緑の草原が広がる場所では、白い雲は緑色に見えのかな?

ニューヨークに来てから一週間が経った。
初めは大声で飛び交う英語や、接客業のサービスの悪さ、乱暴すぎる車の運転、街の汚さに辟易していたけれど、
ようやく慣れたというか、諦めたというか、それほどストレスを感じなくなった。
逆にニューヨークの魅力――パワーに溢れているとか、必要以上干渉しない――を素直に感じ取れるようになった。
東京だって世界経済を動かす程の大都市だけれど、ニューヨークの方が無限の可能性というか、底知れないパワーがある気がする。

横断歩道が青になった。
ニューヨーカー達は「信号なんて関係ない」って感じで、赤のうちから渡っていたけれど、小心者の私は、律義に信号に従った。
私が通う語学学校の”CZOC“は34stにある。エンパイアステートビルの隣だ。
七階建ての建物の五階から七階が学校になっていて、その他にも美容室や会社のオフィスが入っている。
五、六人くらいしか乗れない狭いエレベーターで受付のある五階に着くと、ちょうど係りの人が出払っているのか、学校関係者らしき人は誰もいなかった。
受付の少し奥には長テーブルと椅子が置いてあり、数人の生徒らしき人が座っている。
入学の際は、クラス分けテストがある。テスト結果と面接で振分けられ、その日の午後の授業から参加するらしいけれど…… いつまでも佇んでいる訳にもいかないので、長テーブルに座っていた日本人らしき女性に声を掛ける。

「あの、テストってここでいいんですか?」
「……そうみたいですよ。……多分」
なんか心細いけど……。ひとまずその日本人女性の隣に腰かけた。
やがて中国人風の男性がやって来て、長テーブルに座っている人達に向って出席を取り、間もなく筆記試験、面接試験が行われた。
試験はと言うと、全然ダメだった。もちろん筆記試験の問題も英語。
何を問われているかも分からないし、面接の教師の言っていることも曖昧にしか聞き取れなかった。

結果はLevel3の午後クラス。それがいいのか悪いのかは分からないけれど、言われたままに従うだけだ。

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#03「Lesson」-2へつづく

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千葉美鈴 新連載エッセイ
「不滅の千葉ちゃん29歳」

『New York L Story』概要

#01「Left」

#02「Live」

#03「Lesson」

#04「Leaf」

#05「Lost」

#06「Lie」

#07「Listen」

#08「Library」

#09「Luxury」

#10「Lack」

#11「Lonely」

#12「Letter」

#13「Like」

#14「Let me know」

#15「Love」

#16「Lily」

#17「Local」

#18「Life is …」

#19「Leave」

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