
#02「Live」-1
一回、四回、六回。 騙されそうになった数、怒鳴られた数、中国人に間違えられた数……
まずジョンFケネディ空港でAir Train乗場を探していたら、笑顔の白人が近づいてきて、私の荷物を勝手に運びだした。
Air Trainの係員だと思って、着いていきそうになったけれど、その人がジーパンにTシャツ姿から、さすがにおかしいと思って荷物にしがみついた。

あとでアパートの管理人の絵津子さんに聞いたら、それは典型的な『白タク』の手口なんだって教えてくれた。
タクシーに乗せられたら最後、通常の三倍以上の金額を請求されるらしい。
「日本人ってお金を持っているし、抵抗しないからカモにされるんだ」
過去にアパートに滞在していた日本人にも、やっぱりカモにされて泣き寝入りした人がいたらしい。
日本では普段起こらないようなことが、ニューヨークでは日常だったりする。 目の前にある冷めた特大サイズのハンバーガーを見て、無意識に溜息が出た。 ――こんなに食べれるかっつーの!
42nd stのマクドナルドを訪れたのは一時間くらい前。
チーズバーガーとポテトとコーヒーのセットを頼んだのに、特大サイズのハンバーガー二つとポテトとコーラが出てきた。
100ドル札を出したら、あからさまに嫌な顔をされた。お釣りはカウンターに投げつけられた。
店員同士はおしゃべりが絶えない。客を見下ろしたような眼差しだった。
接客業は笑顔が売りのはずなのに。こんなこと日本じゃあり得ないことなのに。
何よりオーダーが違うことを告げられなかった自分がむなしい。
私は重い腰を持ち上げ、トレーの上のハンバーガーを勢いよくダッシュボックスに捨てた。